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2025年4月~6月 のライブのうち、6月13日のイベントについてはその日だけで掲載情報量が多くなったので、6月13日専用にこのページを設けました。他の日については2025年春ページにまとめてあります。
↓2025/6/17 13:56 更新。文に少し修正・削除・追加。
↓2025/6/19 Duo2 中牟礼-増尾 の写真を Moto Uehara氏撮影のものに差替え。
↓2025/6/21 寄せ書きノートの写真 (by Moto Uehara氏) を、ページの下のほうの思い出写真の手前に追加挿入
Kazumi's Rainbow 渡辺香津美君を励ます会 チケット売り切れ
6月13日(Fri) Open19:00 / Start19:30
MEMBERS
【YOSHIAKI MASUO GROUP】増尾好秋(G) 永武幹子(P) 中林薫平(B) 北井誉人(Ds)
ゲスト:中牟礼貞則(G) 山下洋輔(P) 本多俊之(As) 井野信義(B) 山木秀夫(Ds) Gregg Lee(B) 三好"3吉”功郎 (G)
天野清継(G) 沖 仁(フラメンコG) 則竹裕之(Ds) 吉野弘志(B) 村田陽一(Tb)
渡辺香津美君が突然倒れたニュースが報じられてもうしばらくになります。何か手を差し伸べようとゆかりのミュージシャン達を集め渡辺香津美君を励ます会 Live を開催し皆んなの気持ちを少しでも彼に届かせようという企画です。- 増尾好秋
ギタリスト渡辺香津美さんは、2024年の2月27日に突然の右半身のしびれを訴えて倒れたそうです。普通なら即死の状態で、意識不明が2カ月続いたあと、奇跡的に意識を取り戻しました。とはいえ、まだ大変な闘病・リハビリ生活が続いていることが知られています。
香津美さんのことを気に掛けながらも、何もしてあげることができないというもどかしい気持ちを、皆さんが持っている … それで増尾さんは香津美君のために何かやりたいと思っていた、とのこと。
増尾さんは、まずは PIT INN に、同様のイベントがすでにあるかどうか問い合わせて、ないことを確認。それから香津美さんの奥様に、このような趣旨でライブをやることの了承を得ようと連絡しました。しばらくして返信があり、とても喜んでくれて、是非やってくださいとのこと。そのメールはすごく心を打たれる内容でした -- 香津美さんはすごく喜んで涙を流していた。その涙のなかには、もちろん嬉しさもあるけど、PIT INN で自分は演奏できないという悔しさとか、いろんなものが混じっていると思う -- と、そういったことが書いてありました。増尾さんは読んで胸が詰まって、しばらく話せない状態になってしまいました。そのとき増尾さんはハワイにいて、止めている車の中で、奥様シャーリーさんがすぐそこの店でドーナツを買ってくるのを待っているところでした。車に戻ってきた奥様が「何があったの?」と聞くも、増尾さんは、とりあえず「ちょっと待って」と言うのが精一杯でした。それから気を取り直して、車を運転して帰路に着いたところ、目の前に虹がかかっているのを目撃した、というのです ・・・ その虹が、このライブのタイトル Kazumi's Rainbow に繋がったのですね。(おそらくは、希望をこめて)
このライブの企画主でありホスト役となる増尾さんは、渡辺香津美さんと関わりの深いミュージシャンに集まってもらいたいけれど香津美さんがどういうミュージシャンと交流が深いのか知らなかったため、香津美さんの奥様でピアニストである谷川公子(たにかわ こうこ) さんに尋ねて、またPIT INN さんにも尋ねてミュージシャン リストをもらい、そのリストの全員にメールを送りました。企画に賛同してくれてスケジュール的にも出演可能なミュージシャンらが、この日参加してくれることになりました。香津美さんのために参加したいけれどもその日はすでにスケジュールが…というミュージシャンも何人もいたそうです。
さらに、多人数のミュージシャンがどいういう組み合わせでユニットを組んで演奏するか、どの曲をやるかなど、事前に連絡して相談、調整することはいろいろあり、また多数のミュージシャンが出ても全体の時間が長くなりすぎないように配慮して進行計画を立てるなど、多くの準備がなされたようです。増尾さんは、このライブのために香津美さんの曲を練習したり、Kazumi's Rainbow という新曲まで書き下ろしたりと、本当に大きなプロジェクトでしたね。
一方、増尾さんが当日話されたところによると、個人的に、このイベントのおかげで、いままで会ったこともない、やったこともないミュージシャンと、たくさんやることができるという機会に恵まれたわけで、「特別な場をつくってくれて、香津美、ありがとうございます という気持ち」だとのこと。
また、増尾さんのアイディアで、PIT INN のすぐ外のビル内通路には「渡辺香津美さんにメッセージをお願いします」という貼り紙とすぐそばにノート2冊とマーカーペン数本が用意され(写真は当ページの下のほう)、来場の皆さんが書き込んでいました。
■ Yoshiaki Masuo Group: 増尾好秋(g), 永武幹子(p), 中林薫平(b), 北井誉人(ds)
■ Duo 1:増尾好秋 (G)、沖 仁 (フラメンコ ギター)
■ Group 1:天野清嗣 (G), 本多俊之(As), 村田陽一(Tb), Gregg Lee (El-b), 吉野弘志(B), 則竹裕之(Ds)
■ Group 2: 三好"3吉"功郎 (G), 本多俊之 (As), 村田陽一(Tb), 井野信義 (B), 山木秀夫 (Ds)
■ Duo 2:増尾好秋 (G)、中牟礼貞則 (G)
■ Duo 3:増尾好秋 (G)、山下洋輔 (P)
■ Yoshiaki Masuo Group + ゲスト 山下洋輔:
増尾好秋 (G), 中林薫平 (B), 北井誉人 (Ds), 山下洋輔
■ Yoshiaki Masuo Group + 多数 〔ラストの1曲 Kazumi's Rainbow by Yoshiaki Masuo 〕
増尾好秋 (G), 永武幹子 (P), 中林薫平 (B), 北井誉人 (Ds),
本多俊之(As), 村田陽一(Tb), 天野清嗣(G), 三好"3吉"功郎 (G), Gregg Lee (El-b)
■ アンコール (直前のメンバーからピアノが 永武→山下 に、ドラムが 北井→則竹 に)
増尾好秋 (G), 山下洋輔 (P), 中林薫平 (B), 則竹裕之(Ds),
本多俊之(As), 村田陽一(Tb), 天野清嗣(G), 三好"3吉"功郎 (G), Gregg Lee (El-b)
■ Yoshiaki Masuo Group: 永武幹子(p), 中林薫平(b), 増尾好秋(g), 北井誉人(ds)
増尾さんは、「今日演奏するのにどういう曲が相応しいかなぁと思って … 」と話してから、まずは Still Believing in Dreams の ボーカルバージョンを。そして2曲目は Part of the Deal を演奏しました。Part of the Deal は、ふだん増尾さんのグループのライブでは1部か2部の最後にやることの多い曲で、そういう曲だからもあるだろうけど、2曲目なのにセット最後みたいな熱量とか勢いを感じました。会場の熱気も手伝ってのことかもしれません。Y.M. Group に限らずこのあとの他のグループも、この特別な日に演奏に込める想いやエネルギーを感じました。
■ Duo 1:沖 仁 (フラメンコ ギター), 増尾好秋 (G)
初めて会う二人。沖 仁 (おき じん) さんは、スペインで開催のフラメンコギター国際コンクールで日本人初の快挙となる優勝を果たされた経歴の持ち主なんですね。フラメンコギターとデュオをするにあたって選ばれた曲は、映画「ディアハンター」の主題曲 Cavcatina と 黒いオルフェ でした。このデュオでは、増尾さんのギターにもスパニッシュなテイストが加味されて普段聴けない感じの繊細な表現でした。沖さんのことを「いやほんと、こういうギターの音、痺れますねぇ」と増尾さん。そして「(沖さんが)香津美君とやったのも聴きたかったなぁ…」とも。
沖さんは首都圏外からいらしてくださっていて、帰りの交通手段の関係で最後までいることができず、この出番のあと会場を後にされました。
次は、香津美さんとゆかりの深いミュージシャンが Goroup 1 と Group 2 の2つに分かれて順に2曲ずつ。ここでは増尾さんは、お休みです。増尾さんがこれまで仕事で顔を合わせたことがほとんどなかったミュージシャンらによる演奏。ホスト役の増尾さんは、興味深く聴いていらっしゃるようで、Group 1 のあと、Group 2 のメンバー紹介をするときに「どんな音楽をやるんでしょう。すごい楽しみなんです」なんて、聴衆の一人のようなことを言っていました(笑)
■ Group 1:天野清嗣 (G), 吉野弘志(B), 本多俊之(As), Gregg Lee (El-b), 村田陽一(Tb), 則竹裕之(Ds)
Group 1 の一人(天野さんだったか?)が 「この素晴らしいメンバーで、香津美さんの代表曲ですかね、これは。あえてタイトルを言わないで、演奏したいと思います」と。始まった曲は ユニコーン! そして次が 遠州つばめ返し でした!
■ Group 2:本多俊之 (As), 井野信義 (B), 村田陽一(Tb), 山木秀夫 (Ds), 三好"3吉"功郎 (G)
聞くところによると、Group 2 のほうでも演奏曲として香津美さんの 遠州つばめ返し を考えたのだとか。でも Group 1 に先を越されて再考することに。1曲目はステラ・バイ・スターライトを高速テンポでフリーっぽく(この選曲よかったと思う、凄かった)。そして 2曲目は Blues Connotation。
■ Duo 2:中牟礼貞則(G)、増尾好秋 (G)
(↑ Photo by Moto Uehara)
香津美さんが高校生くらいの時から師匠だった中牟礼さん。この日のなかで最高齢。よくぞこのイベントのために移動して来てくださいました。
曲は、Beautiful Llove と、Two Degrees East , Three Degrees West 。
■ Duo 3:山下洋輔 (P)、増尾好秋 (G)
(↑この写真1枚は、ピアニスト永武幹子さんの Facebook 投稿 より、
山下洋輔さん×増尾さん
デュオで遠州つばめ返し! から使用させていただきました)
山下さんと増尾さんは、これまで共演はほとんどなく、2004年 日比谷 野音 でのイベントでたまたま山下さんと同じグループに入り1曲を全員でやったことがある程度です。スタイルというか方向性が異なりますね。お二人だけのデュオなんて、今回が初のはずです。
山下さんは事前に、この機会に増尾さんとやりたい曲の譜面と音源をいくつか送ってくだっさったそうで、そのなかに、遠州つばめ返し があったとのこと。増尾さんは最初この曲の音源を聴いて、どうなってるんだろう??と思って、譜面で確認したとのこと。この日までの間、練習されていたそうです。それを山下さんとやるとなると「どうなるんでしょう?」とご本人(一堂笑い)。山下さんのおかげで増尾さんにしては珍しくアヴァンギャルドな、滅多に聴けない類いのプレイ!! 貴重な場面でした。
■ 山下洋輔 (P)、中林薫平(b), 増尾好秋 (G), 増尾好秋(g), 北井誉人(ds)
山下さん増尾さんのデュオに、Y. M. Group から 中林さん、北井さんが加わって、曲は バド・パウエルの「クレオパトラの夢」。
山下さんは普段はフリーの演奏がメインなのだけれども、彼の土台になっているところにバド・パウエルとかがあって「今日はそういうのを聴けるのって、皆さん、得してると思うんです」と増尾さん。
たしかに、こんな感じの山下さんは珍しい。この日の出演者のなかで若手の北井さんが、大御所の山下さん相手に堂々たるドラミング!と感じました。
■〔ラストの曲 Kazumi's Rainbow by Yoshiaki Masuo 〕
永武幹子 (P), 天野清嗣(G), 中林薫平 (B), 本多俊之(As), Gregg Lee (El-b), 増尾好秋 (G), 村田陽一(Tb),
北井誉人 (Ds), 三好"3吉"功郎 (G)
この企画のために書かれた曲「Kazumi's Rainbow」は、「今日になって譜面が全部できた」とのこと。増尾さんのグループ4人に加えて「やりたい人はみんな入って、やろうと思います」。曲の出だしは虹を思わせる優しい音色で美しくゆったりと奏でられ、ブレイクで力強いビートとホーンが加わり溌剌とエネルギッシュに。そこからソロ回しを20分近くやって、最後のほうは聴衆が手拍子で参加。すごく盛り上がりました。
■〔アンコール〕
山下洋輔 (P)、天野清嗣 (G), 本多俊之(As), Gregg Lee (El-b), 増尾好秋 (G), 村田陽一(Tb), 則竹裕之(Ds)
アンコールは、香津美さんが自身のバンドでよく演奏しているマイルストーンズ!
ピアノは永武さんから山下さんに変わり、ドラムは北井さんから則竹さんへと交替。
あとで写真を見てわかったけれど、永武さんは山下さんのすぐ後ろでピアノを見ていたし、北井さんは上の写真のとおり則竹さんのすぐそばにしゃがんで則竹さんの演奏を見ていました。
イベントの最初から最後まで、ミュージシャンの皆さんの気持ちの入った演奏が素晴らしく、香津美さんに届けようという思いで会場が一体となっていました。興奮冷めやらず。スペシャルな時間と空間でした。
休憩時間は特に設けられておらず、ミュージシャン交替時の楽器セットアップ時間をトイレ休憩に充てるような形で、最長の休憩でも10分が1回。ほぼ3時間ぶっ通しのステージ。これだけの内容を予定どおりの時間で終われるなんて、進行がとてもうまくいったと思います。立ち見の人たちは入場時からだと3時間半立ちっぱなしでしたが、それでも、充実感で満たされた人が多かったのではないでしょうか。
終演後に何人かのミュージシャンと話してみた某リスナーさんによると、皆さんそれぞれ充実の想いがあったようです。
渡辺香津美さんにみんなの思いが届きますように。心よりご快復をお祈りしています。
(Photo by Moto Uehara)
増尾さんご自身が所蔵の、1980年前後に撮られたと思われる写真です。
下の画像をクリックすると、元記事である増尾好秋公式Facebookページに飛びます(別タブで表示)。
次は 2012年6月12日、新宿PIT INN 増尾好秋 3 Days の2日目
増尾好秋 ギターデュオ with 渡辺香津美 (g) / Char (g) / 中牟礼貞則 (g) の日の写真です。
このページは2025年6月13日 ライブイベント専用です。
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※増尾好秋氏は、基本的には春と秋に3カ月ずつ日本に滞在して演奏活動しています(ときには何らかの事情でそのパターン通りでないこともあります)。今後の予定は
Schedule&Newsページ でご確認ください。