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●6/21 (木) Chanto restaurant 増尾好秋 (g), 奈良岡典篤 (b) ●6/24 (日) Blue Note New York 増尾好秋(g), ビル・メイズ (p), マーティン・ウインド (b), マット・ウイルソン (ds)
※参考: 6/28 (木)も Chanto restaurant に 深尾多恵子 (vo), 増尾好秋(g), 奈良岡典篤 (b) という顔ぶれで。
CHANTO Japanese restaurant
133 7th Ave South, NY 10014
(地下鉄 Christopher St. 駅よりアップタウン方向に1ブロックとちょっと)
Phone: 212-463-8686
右の写真は、7th Ave 沿いにあるこのお店をダウンタウン側から見たお店入り口。歩道に張り出している部分の中央にドアがあるが、この張り出し部分はお店のごく一部で、入るとダイニングスペースが奧に広がる。2階がメインのダイニングフロアで、さらに Mezzanine と Top フロアもある。内装がゴージャスな立派なレストランだ。店員さんは日本語もOKで、感じがいい。寿司の盛り合わせを注文したところ、テーブルに出すときに「これはまぐろ、ヒラメ、…」と、こちらが聞かなくても一通りざっと説明してくれるのは良いと思った。美味しかった。
ちなみに、Chanto の名は、「ちゃんとする」の意味から付けたそうだ。
上の写真で小さく写っている貼り紙が右→
Chantoレストランでは、2007年5月31日から毎週木曜にJazzの生演奏を始めたばかり。聞くところによると、ある日たまたま深尾多恵子 (vo) さん(ソングバード・タエコ さん)がお店で歌ったときにいい感じだったので、毎週木曜にジャズライブをやることになったらしい。翌週6月28日は深尾、増尾、奈良岡というメンバーの出演が予定されていて、私が行ったこの21日も、深尾さんがお店に見えていた。
ステージ、というより演奏スペースは、1階入り口近くの一角に設けられていたが、今後は2階で演奏ということもあるかもしれないとの話だった。
Chanto のある界隈は、ご存知の通り、マンハッタンの中でも特にJazzクラブが集中しているエリア。
奈良岡典篤 (b),
増尾好秋(g)
この日、演奏開始が予定時刻より遅れた。増尾さんが、開演1時間前にはお店に着くつもりだったにもかかわらず、ニュージャージーで大渋滞にはまったそうだ(そんな時間帯に車で移動する必要が生じたこと自体が予期せぬいきさつから)。 店の前へ車で乗り付けてからは、急いで車からアンプを降ろしてセットアップし、ものの5分ほどで演奏開始。そんなあわただしい始まりだったが、いったん始まると、いっきに二人の世界へすっと入った。
たぶん、スタジオでセッションしているときの感じそのままなんだろうか?何気なく弾いているみたいなんだけど、すごくいい。マイクで曲名を言うこともなく、ただ次々と曲を演奏していく。スタンダードや増尾さんの曲。増尾さんのギターがリラックスして気持ちよく歌っている。ベースは、ものすごく安定感があって好感のもてる音。それに反応がおそろしく速いようにみえる。まさに スポンテイニアス に対話が進行していく感じだった。「ステラ・バイ・スターライト」で途中からボサノバのリズムに変わっていくときなど、二人同時に自然にそうなったみたいだった。たっぷり3セット演ってくれて、う~~ん満足。 New Yorkに着いてこれが最初に観たライブ。この1本でさっそくNY旅行に来てよかったと思えた夜だった。仮にこの二人が日本ツアーをしたとして、初日からいきなりこんな凄い演奏ができるだろうか?と想像してみるに、やっぱり二人の住んでいるNYだからこそだろう、という気がする。
奈良岡さんを初めて聴いたけど、もっと聴きたいと思わせる素晴らしいベースだった。なにしろ、増尾さんが今 若手で一番気に入っている日本人のベーシストだそうだ。 そして話しても爽やかな好青年。
こんな超一流の演奏を、美味しい食事を注文するだけで聴けてしまうとは、なんと贅沢なことだろう。
ライブハウスじゃないので、思い返してみれば演奏中にけっこうおしゃべりその他の雑音はあった。それはしかたない。だけど、私はなぜだか(奏者に近い席だったから?)そんなことにイライラさせられることは全くなく音楽を楽しむほうに集中できてしまった。
Chantoでの定期的なジャズライブ、長く続いてほしいと思う。(K)
★奈良岡 さんのサイトにも共演の写真があります。
ブルーノート ニューヨークの店構えの写真は、いたるところで見られるので、かわりに右の写真はサンデー・ブランチの一例。これは、もう食べはじめてから、当サイト掲示板にあった「NYのブランチのメニューは...?」という一言を思い出して撮ったもの。できれば注文前にメニューの写真をメモがわりに撮っておけばよかった。メニューはかなり多くの種類から選べる。写真は、ヴェジタリアン・オムレツとグレープフルーツジュース。オムレツだけでも3種類あった。アメリカのレストランは、一人前の量が多すぎて閉口してしまうことが多いけど、この量は私にはちょうどよかった。ということは、普段たくさん食べるアメリカ人には物足りないということか?味のほうも美味しかった、私にはとても満足。
Photo by Shirley Masuo
マーティン・ウインド (b),
増尾 (g),
マット・ウイルソン (ds)
ビル・メイズ (p),
増尾 (g, vo),
マーティン・ウインド (b)
【1部】 12:30~
1. Part of the Deal (Masuo) ※
2. No more Dreams (Masuo. 歌詞:海老原淳子)
3. Shoho Love Song (Bill Mays)
4. Small Steps (Masuo)
5. Mona Lisa
6. Charlie Parker のキーCのブルース
(Cheryl + Bloomdido + Perhaps)
【2部】 2:30~
1. You Are My Everything
2. For the Old Boys (Masuo)
3. On Greene Street (Masuo) ※
4. Peace Waltz (Bill Mays)
5. Dolphine Dance
6. The Tree (Masuo)
7. Look for the Silver Lining
ステージは、まずBlue Noteスタッフによる "Good Afternoon..."というアナウンスがあり、それから増尾さんの挨拶とメンバー紹介で始まった。
1曲目 Part of the Dealは、私が今回NYへ来て初めて聴いた増尾さんの曲(Chantoレストランでもやった)。出だしがちょっと緊張感があって特徴的な、ミディアムテンポの曲。ソロでは4人それぞれが聴かせどころ満載だし、バックの楽器も凄くいい味付けをしたりして、最初からメンバーの対話が活き活きしていた。
2曲目は、増尾さんが曲名を言ってから 「Excuse my language.」と断り(ここで客席からなごやかな笑い)、No more Dreams を日本語歌詞で歌った。歌詞は、ボーカリスト&ピアニスト海老原淳子さんによるもの。 ニューヨークの Blue Note で日本語の歌は珍しいのでは?
3曲目はビル・メイズの曲。彼はペンシルバニア州の田舎にあるショホラという美しいエリアに住んでいるが、その Shohola と Love をひっかけて Shoho Love Song というタイトルを付けた。増尾さんがこの曲について説明するとき、ビルのことをピアノ奏者、作曲家、アレンジャーとして優れているだけでなく、なにより "one of the most beautiful human being I know" (僕の知っているなかで最高に素晴らしい人間のひとり)だとたたえて会場から拍手が起こったが、マーティン・ウインドが横から「特にその着てるシャツがね」とボソッと言うと、ビルが立ってファッションモデルのようなしぐさでシャツを見せ、大爆笑をとった。
Shoho Love Song は、緑豊かで美しくのどかなショホラの地にぴったりの曲。ビル・メイズのキラキラ鳴り響くピアノにときどき添えられるギターのミュートした音で始まり、テーマへ。叙情的で牧歌的。渋いベースがより美しさを引き立てる。増尾さんのギターの歌い方がこの曲をいっそう魅力的にしていた。同じ旋律を弾いても、ノリ というのかな~?、やっぱり増尾さんは違うんだと思う。
次のSmall Steps ではエネルギッシュな演奏。マット・ウィルソンが猛烈なドラミングを炸裂させてもう止まらない。あまりの凄さに私のすぐそばの席から "Out of control!" との声が聞こえた。
Mona Lisa では一転してしっとり優雅なギターとピアノの対話が絶品。
1部最後はチャーリー・パーカーの書いたキー C のブルースを重ね合わせて演奏。メドレーではなく、最初にピアノがシェリルのテーマをやったあと、次はそれにギターが Bloomdido を重ねて…といった具合。複雑で、バラバラなようで合っている。すごくスリリングで面白かった。
エンディングでTheme演奏中に、増尾さんがメンバー紹介しようとちょうどマイクに近づいたとき、ピアノのちょっと おどけたようなフレーズにベースが間髪いれず寄り添うと、さらに増尾さんのスキャットとドラムスが追いかけて笑いをさそう、という楽しい瞬間があった。こういう気の利いたかけあいはほかの曲の演奏中でも随所にあったけど。2部は、増尾さんがよく演奏される You Are My Everything でスタート。これまた4人の息のあったいい演奏。
次に増尾さんがマイクでお父様のバンドについて語り、For the Old Boys を歌う。
3曲目、増尾さんの On Green Street は、増尾さんのスタジオが Green Street にあるから付けたタイトルだそうだ。ノリがよくカッコイイ曲。増尾さんのソロが決まってる! ビル・メイズも、重厚な雰囲気の秀逸なソロ。マーティン・ウインドのセンスの光るソロの途中からギターが絡み二人だけのデュオ状態になったときがまたいい。その後のバースチェンジとかも凄く良かった。
Peace Waltz は、ビル・メイズがピアノの弦を直接手でかき鳴らし、静かで幻想的な雰囲気で始まった。マット・ウィルソンは鈴やら笛やらほかにもパーカッションを持ち出して繊細な音を出していた。ギターもさまざまな音色で美しい旋律を奏でていた。ビル・メイズのこの曲も実に美しい。
Dolphine Dance は、素晴らしい出だしのピアノに始まって、1つの曲の中でいろんな感じに変わり、ギターとピアノの切り裂くような激しく先鋭的な演奏で盛り上がってからリリカルに終わった。
次に、増尾さんが曲名を言わずにいきなり弾き始めたのが The Tree だった。哀愁を帯びたボッサ。私の大好きな曲のひとつで、数年ぶりに聴けた。曲自体がとってもいいし、増尾さんのギターがこの曲に本当にはまってると思う。演奏後に増尾さんがこれの曲名を言うと、向かい席のビル・メイズ夫人が「そうそう、そうだったわ」と曲名を思い出したみたいだった。ご自宅で増尾さんたちがこの曲を演奏しているのを聴いたことがあるのだろう。
最後に、どの曲をやるかちょっと迷ったあと「昔ソニー・ロリンズとよく演奏した大好きな曲、Look For The Silver Lining を演奏します」と増尾さんが言うと、客席のあちこちから「歌うんでしょ?」(実際は英語で)。和気あいあいムード。で、ほんとに歌っちゃった、一度歌詞でつっかえそうになったけど(笑)。もちろんギターも歌ってた。
というわけで、1部も2部もいろんな要素を楽しめた。いや~ 凄かった。楽しかった!
増尾さんとビル・メイズはときどき一緒に練習されることがあるそうで、さすがにお互いがよくわかっているという感じ。そして、この4人揃っては一度もこの日に先立って練習/リハーサルはしなかったそうだが、とてもそうとは思えないほど。4人で余裕で楽しんでいるようにみえた。
ビル・メイズのピアノは、どちらかというと美しい、明るい、というイメージが私にはあるけど、それだけじゃなく、ほんとに幅広い表現力があると感じた。アイディアが豊富で、インプロヴィゼーションとは思えない、まるで時間をかけてアレンジしたかのようにしっかり構成されたフレーズをその場で創っている、と感じさせられることがある。
こういうメンバーで、増尾さんがいつか日本で演ってくれたらいいな~ (K)
ライブ終了後の
ビル・メイズトリオ。
向かって左から、
マーティン・ウインド (b)、
マット・ウィルソン (ds)、
ビル・メイズ (p)。
★Cabaret Exchange
というサイトに
このライブのレビュー
記事が掲載されました
Sunday Brunch at The Blue Note
(2007/07/05日付け記事。英語です)
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