去る6月19日土曜日に、下関“Billie”で行われた、ギタリスト増尾好秋、with
ピアノ Bill Mays のライブに行ってきました。
Billieさん、有名アーティストの出演するライブハウスだと知っていたのですが、お伺いするのは初めてです。
場所は、住吉神社の鎮守の森のとなり。
披露宴会場兼レストランの建物の、一角にある。
当日は風がすごくさわやかな一日で、開演時間まで余裕があったので神社の中を散歩しました。
鎮守の森の木がそよぎ、風に乗って青年神官の演奏する龍笛の音が聞こえてくる。
あたり一帯がこんもりとした森で、この気持ちいい自然にまず、すっかり脱力してしまい。
増尾さんの演奏に、龍笛のおまけまでついてくるなんて。
素敵すぎです。
Billieさんは落ち着いた、大人のジャズファンが寛げるいい感じのお店でした。下関なので、お魚が美味しいの。
♪手まり寿司と、巻き寿司。
♪茶碗蒸し。ほうれん草のムースを添えて。
♪鮭とタマネギのホイル焼き。
♪ローストビーフ。
Billieさんで、コーヒーを頼むと、小さいドーナツのおまけが2個ついてきます。ちょっとしたことですが(笑)嬉しいですよね。
演奏の始まる15分くらい前から、ステージに増尾さんが上がって、ギターの調子を確かめている。その周りに、自然な感じでファンが集まってきて写真を撮り始めた。それをみんなが「撮影会だね」と言いながら笑顔で見守って、もう演奏の始まる前から、アットホームな一体感が。
やがてステージにピアノの、ビル・メイズ氏と登場し、演奏が始まりました。ビルは初めて見るピアニスト、体格がいい。そこにいるだけで、どっしりとした安定感がある。
演奏は、Nice day in Pennsylvania
からスタート。この日の演奏と、次の日で、ビルとの日本での仕事が終わるそうで、
「ビルが何言ってるかわからないから僕が教えてあげてるんだけど、」と話の内容をビルのために、英語で通訳する時の増尾さんの、笑った顔が少年みたいで、「人つかみ」なんだよ。それだけで、このユニットがどういう会話をしてきたのか語ってる感じで。
ピアノと2人だけだから、縛りがないんだよね。ひょっとしたらミュージシャンが、楽器で会話してるのが、聞けるんじゃないかと思って期待してしまったのですが、それを裏切らなかったですね。
いざ演奏が始まると、お客さんを飽きさせない工夫が散りばめられ。
テーマのフレーズからどんどん変化して音が、波のように流れていく感じでした。
ビルのピアノの音は、この日は繊細かつ、大胆そして主張するとこは、しっかり主張と言う感じでしたね。
ビートルズナンバーの曲のときは、ピアノの弦を直接叩いたりして、バイオリンのギコギコしたフレーズをうまく表現していました。
ピアノを愛するビルは、「ここは素敵な場所で、お店のピアノは、ピカピカ。こんな風に、ピアノってハープを横にしたような楽器だから指ではじいて弾いていいけど、演奏が終わったらキレイにしないとね」って言いながら、ウエスでピアノの弦を丁寧に拭いていて、この心づかいって、ピアノをいつも調整し
て、ピカピカに磨いているお店の人はきっと嬉しいですよね。
この日のライブは、お客さんもとても寛いで楽しんでいました。昔、バンド編成で回っている時は、話しかけるのも、すごく敷居が高かったのです。
Billieでは、一部と二部の間もゲストと談笑していて、増尾さんのお宅で寛いでいるような感じでした。
私も大分から来ていたファンと、すぐに打ち解けてお友達になりました。
そんな、フレンドリーな感じで進んでいくライブ。
増尾のウイスキーのような芳醇な香りのギターと、Billのシャンパンの泡のような端麗な高音、そして波のような余韻の、中音域の広がりがせめぎあい、何回か脳波がアルファー波出まくったようにトリップ。
気持ちいい音にまたすっかり脱力したところで、お二人が息の合った(?)ラブソングを披露。
前評判だと「初体験だから優しくして」(爆)という内容だけど……、
当日よく聞いてみると「惚れちまったどうしよう、こんな気持ちになっちまった。君のちょっとしたリアクションがすごく気になるんだ。ちょっとでも知らん顔されたら、置いていかれたかと思っちゃう」。と言う内容でした。
ええ、楽しい歌でした。
ビルにとって増尾は、思い切り安心して自分をぶつけられる相手のようで……。
増尾という大きな器の中で、安心して音をインプロヴァイズできる。そして、増尾はビルと言う、素晴らしいピアニストに出会えて、いい時間を重ねてきた充実感が、そして、日本のファンに紹介できる喜びというものが感じられた時間でしたね~。
大体曲の終わりごろになると、だんだんビルが仕掛けるんだよ。(爆)。
ビルのリアクションでわかる。多分リハでは一応一通り流してんだろうね、と。でも、本番でそれ以外のことをやりたくてうずうずしてるのよ。(爆)「ヘイ増尾どうしようぜ」みたいな感じ。
それを増尾は面白がって楽しんでやってる、だからまた、次の曲でビルが余計「かめはめ波」を増尾にぶつけるという。いやはや。
で、あろうことか、この2人ともタイムが完璧で、実際はいないんだけどドラムのシンバルが聞こえてくるような、完璧なタイムで演奏するから、不覚にも、思わず以前テレビチャンピオンに出ていた奈良の餅つき職人を思い出してしまった。(3人ぐらいで、お餅を高速回転ですごく息の合ったテンポでぺたぺたつく職人さんです)。
小休止の後、後半に突入するとこの傾向(爆)はどんどん強くなり。
増尾はどんどん「ビルそんなことぐらいで俺は倒せないぜ、これを受けてみろ」。
ビルは「そうか、そう来るかよ、だったらこうだぜ」を繰り返し。
終盤に入ると、今度はお客さんに増尾が手拍子をうながしBillieのゲストの皆さん、手拍子で演奏に参加します。
これが、どうしてですか、というくらいタイムがめちゃくちゃよくて。この16ビートのギター職人、ピアノ職人の音からぶれなかった!!!
個人的にはここが一番面白かったです。
この気持ちいいゲストの手拍子と、三位一体となった会場は否が応でも、めちゃくちゃ楽しく盛り上がり、笑いが止まらない感じになり。終了しても2人をステージから降ろさないという、暗黙の一致団結を見せ、
(こっちも打ち合わせがないのに、どんどん団結しました)。
お2人は4回もアンコールに答えてくれました。
ビルがちゃちゃっと、西部劇の酒場みたいな軽快なイメージの曲を弾き、増尾がそれを、「飲酒運転禁止のキャンペーンの曲みたい」選挙運動やってるみたいだ。と笑って面白がってました。
全体的には、ほんとに明るいライブでした。
最後は純粋に楽しかった。
ずっとお二人には、元気で頑張って欲しい。
増尾さん、次に聞けるのはいつになるのかな。ずっと聞いてきた人だったけど、また次に聞ける日まで、1日1日を大切に生きていこうと思える1日でした。
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