せっかく来たんだから楽屋に会いに行く事にしました。ステージに向って歩いているとちょうど Bobby が出て来て、Hey !! Bobby に会うのも久しぶり。彼 今はシカゴに住んでいるんです。2年位前に僕の Are You Happy Now を聞いたよって。すごく良かったって言ってくれました。 Bobby と一緒にやっていたのがもう20年前になるけれどその時に使っていた同じ革のギターケースをまだ使っていたのを見て嬉しくなってしまった。
楽屋の入り口は人でいっぱい。ゲストパスが無いと楽屋には入れないとの事。うるさそうなガードマンが立っているんです。何とか誰か出て来ないかなあと人ごみの中待っていました。Alt Sax の Rene McLean (Jackie McLean の息子) が居たので立ち話をしていたら何と Bob Mover が現れたんです。
Bob Mover は僕にとって特別な人物なのでここで彼の事を少しみんなに紹介したいと思います。 Phil Woods の事を書いた時に Bob の名前が出て来ましたが、彼は僕がこちらに住む様になって親しくつきあう様になった最初のミュージシャン友達なんです。僕が Lee Konitz と The Onliest Place というクラブ (前は Half Note だった場所)で演奏している時に会ったんです。 Alt Sax 吹き。僕より数歳若いのですが昔から音楽の好みが古めで渋いんです。彼のおかげで前は全然聴かなかった様な音楽にも頭を突っ込む様になりました。ギターでいうとDjango とか Jimmy Rainy とかね。その頃は日系ブラジル人のミヨコという年上の女性と結婚していました。住んでいた所も Village で近かったんです。僕達が Thompson Street。彼等は MacDougal Street に住んでいました。その頃は二人でよく練習したり仕事をしたりしていたので僕が New York に住む様になってからの始めてのアルバム 『 111 Sullivan Street 』 に彼がフィーチャーされています。そのレコーディングが彼の始めてのレコーディングだったんです。僕と彼とは全く対照的な性格で全く正反対。111 Sullivan Street を聞くとその対象が面白いですね。面白い事と言えば、最後の曲 Without a Song を聞いて下さい。彼のソロの2コーラス目の頭、指がもつれて Shit ! なんてどなちゃてるんですよ。聞こえますか?子供みたいに正直なんです。その彼が僕を Sonny に紹介してくれた張本人なんです。
その頃は Dave Liebman, Steve Grossman, Mike Breaker, Bob Berg 達に混じって Bob Mover も若手の先端を行っていました。彼は実力はものすごくあるのですが、この世の中、世渡りがうまい人とダメな人では差が出てしまうんですね。僕も人の事は言えませんが Bob はその辺の所が全くダメなんです。結局何時も人間関係や自分個人の問題で潰れてしまうんですね。僕は彼の音楽性、価値を認めていました。何とか彼を助けてあげようと思っていたので JazzCity の時も彼のアルバムも作りました。数年前にカナダから New York に引っ越して来て新しい彼女も出来たしこれから又人生出直しだというのでお金を貸してあげたのですが、しばらく連絡が無いなと思っていたら又ダメになってカナダに帰ってしまったとの事。どうしようもない奴なんです。馬鹿野郎!→続きpage5/5へ