さらに余談になりますが、その一ヶ月後に今度は
Beacon Theater で改めてそのコンサートをやったのですがその時の Sonny
は本当にスバラシかったんですよ。 〕
歓声が止む前にいきなり一曲目が始まったので最初は音がよく聞こえないんです。
Sonny Moon for Two ! みんな席に座り静かになって目の前で起っている演奏に引きずり込まれて行く。 僕はハラハラしながら手に汗を握り、Sonny
ガンバレ!
みたいな気持、一人のファンとして聞いていました。彼の一挙一動を見ながら
Shirley
と顔を見合わせて笑ってしまったり、声を出したり、足踏みしたり。
二曲目はバラードで Some Enchanted Evening。Sonny
は結局メロディーを吹いただけだったのですが、僕にはこの一曲だけでこのコンサートに来た価値がありました。心にジーンと感じてしまいました。
〔またまた余談になりますが
Mark Soskin と余日電話で話していたんです。Mark
はコンサートに来れなかったので、ど〜だった?っていう訳です。ミュージシャンもたくさん来ていたので他の人からすでにこのコンサートの話を聞いていたんですが、僕と話すときは
Sonny
と一緒に演奏した経験がある人しか解らない微妙な事柄を分かち合えるからなんです。僕達は Sonny
のバンドで一緒に演奏する事は無かったのですが仲間意識があるんですね。彼と話しながらこのコンサートについての自分の印象を整理していました。 〕
ハッキリ言って Christian と Roy
のコンビネーションは別になんて事は無かったんです。Sonny
の調子もまあまあだったんだと思います。でも目の前のステージで100%全力で自分の全てを出し切って無我で演奏している
Sonny を見て聞いて、これがまさに Jazz
って音楽の全てなんだなって感動していたんです。その瞬間と時間をカーネギーホールで多くの人達と一緒に経験出来たって事が尊い事だったんだなって気がついた訳です。この経験は僕の記憶の中に焼き付いて一生忘れないんだと思います。
僕自身いつも演奏する方の立場で来ているので意外と聞きに来ている人の気持とか解っていないんですよ。演奏する方は自分の事を中心に良い演奏だったとか、つまらない演奏をしてしまったとか考えてしまうんですが、
Jazz
を聞きに来ている人々はそんな事以上にその場でその時間を一緒に経験するって事に楽しみというかそこに美味しさを感じているんですね。....なんて自分で勝手にそんなふうに感じてしまったのですが....僕を聞きに来てくれる皆さんは実際どんなふうに聞いているのでしょうか?
とにかくそんな事を考えてまた音楽に対する自分の気持が新鮮になった気がしました。
Mark としみじみと話していたんです。 Sonny
と一緒に音楽をする事が出来た僕達は本当にラッキーな人間だねって。
三曲目は Mack the Knife。この三曲を1957年のコンサートの時に演奏したんですね。今夜の演奏は
Live Recording されているとの事。
眼をつぶって聞いていると自分のギターの音が聞こえて来るんです。時間が経ってあらためて自分のギターが
Sonny
のバンドの中でどのような存在であったのかよく解るんです。そんな聞き方が出来るって本当に幸せです。そんな幸せな気持が僕のエネルギーになっているんですね。
この三曲で一部は終わり。 →続きpage3/5へ