20 年前のSOHO は倉庫街で画廊が少しだけあったけれど人通りが少ないさみしい所でした。今は軒並み Armani (アルマーニ), Louis Vuitton (ルイビトン) みたいな高級店ばかり。 週末になると車も停められないファショナブルな観光地になってしまいまるで別世界です。こんなところに今までスタジオがあったなんて奇跡だね。
このスタジオはユニークなスタジオでした。最初は有賀君と JazzCity の物を作るのが中心になっていたのですが JazzCity をやめた後からは普通の貸しスタジオとして営業を始めました。でも仕事の 99%は Jazz をレコーディングしていたんです。Jazz しかレコーディングしないスタジオなんて滅多に無いよね。そうなった一つの大きな理由はスタジオにある Steinway のピアノがとっても良かったからなんです。勿論 New York には他にもっと素晴らしい本格的ななスタジオがいくらでもありますが、意外とピアノが良くないんです。だから段々ピアニストの間で評判が良くなっていったんです。(このピアノ Steinway B は、1980 年になら春子さんがタカシと Steinway の Show Room に行って選んだそうです) スタジオは一度も宣伝した事がありませんでしたが知らないうちに Jazz ミュージシャンがレコーディングする Jazz Studio になっていました。New York Jazz シーンにとっても貢献していたんです。音楽業界が変わって行くのでレコーディングスタジオがどんどんつぶれてしまいます。そんな中 The Studio は相変わらずJazz 一本マイペースでやっていたので暇になる事がありませんでした。やめてしまうニュースにみんなとっても残念がっています。こんな場所がもうマンハッタンの中には存在しないかも知れませんね。Jazz 最後の砦だったのかもしれません。
アメリカだけではなくヨーロッパや日本、アジア、世界中からのミュージシャンに使ってもらいました。プロデューサーにも気に入ってもらって、Jazz at リンカーンセンター の Todd Barkan, Steeple Chase の Nils Winther, 日本からも木全信さん、原哲夫さん、川島重行さん始め多くの方がレギュラーに来てくれて年間に数十枚の CD を制作していました。ここで改めて使ってくれた方々に感謝したいと思います。本当にありがとうございました。
The Studio でレコーディングした作品の全リストを作らなければね。いろんな物があるのできっととっても面白いと思うよ。→続きpage5/5へ